本物そっくり?
ものまね番組を時々見ていると、「本物そっくり」とか、「本物以上にうまい」とか言われているものまね芸人を見かけます。
ですが、それは少し違うのではないかと思います。
もちろん本物そっくりに見せる技術はたいしたものでありますし、相当努力をされたでしょうから、それ自体を否定するつもりはありません。
しかし、本物そっくりなら、本物を見ればいいわけで、ものまねを見る意味がないと思うのです。
本物が故人とでもいうのならわからなくもないですが。
ものまねはイラストに似ている。
ものまねは似顔絵、イラストの類と似ているように思っています。
イラストも似すぎていては肖像画になります。
それでは面白くありません。
写真と変わらないわけですから、写真を見ればいいわけです。
もちろん、技術の高さは認めますけれど……
ちなみに、少し話はズレますが、ものまね番組で本人写真ではなくイラストが表示されるのは、権利関係でお金が発生するという理由と、タレント本人がものまねを見て怒り出す可能性があるからだと言われています。
誇張するから面白い
ものまねもイラストも、本人の特徴的な部分や、本人も気づいていないような癖などを誇張して見せるから面白いのではないでしょうか。
似ていないはずなのに、特徴的な部分を強調させられることで、「ああ、あるある、この人だ」と思わせるのが芸ではないかと。
そのあたりを勘違いしているものまね芸人が多いように思います。
ものまねはあくまでエンターテイメントであり、面白くなければならないと私自身は考えています。
ただ、コピーすればいい芸ではないと思うのですね。
コピーの一段上を行かなくては。
本物とまったく顔も姿も似ていないようなものまね芸人が、一瞬の表情や仕草で、本物みたいに見せるほうが私には芸達者に見えます。
そのため、私は本物そっくりさん系より、コロッケや清水アキラのものまねを高く評価しています。
なお、コロッケは好奇心を常に持ち、「観察」と「洞察」を常に大事にしているそうです。
最近のものまねタレントは気の毒かも
趣味が多様化した今の時代、テレビは娯楽の中心ではなくなりました。
You Tubeなどの動画などに視聴者は流れています。
かつて、ドリフの全員集合は視聴率50%が30%に下がっただけで、対策会議が開かれたそうですが、今や20%行けば、大ヒットの時代です。
音楽に関しても、CDが売れない時代です。
昔は100万枚売れた曲ならば、小さな子からお年寄りまでほとんどが知っていたものですが、今はそれがありません。
今、売れているCDは握手券のおまけくらいです。
それらの理由から、今の時代、スタンダードというものがなくなりました。
”みんなが知っているもの”がなくなったのです。
だから、ものまねを見ても、そもそも元ネタがわからないので、似ているのかどうかも、面白さもわからないのです。
これはものまねタレントにとって、辛い状況だと思います。
昔の人気キャラはすでに誰かが真似しているでしょうしね。
こんな状況を打破するものまねタレントは現れるのでしょうか?
ものまねタレントの底力に期待したいものです。
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