田中芳樹:著「白銀騎士団」紹介と感想 舞台は1905年のロンドンです。

書評・その他

田中芳樹氏の久々の新作「白銀騎士団」を読みました。

「シルバーナイツ」とフリガナが打たれています。

白銀騎士団あらすじと紹介

舞台は1905年、20世紀初頭のロンドンです。

田中芳樹氏にはヴィクトリア朝怪奇冒険譚三部作がありますが、それよりも少しあとの時代となります。

帝国主義が栄えていた時代で、当時の英国はインドやアイルランド、中国、南アフリカなどに進出していました。

主人公は准男爵のサー・ジョゼフ。

ケンブリッジ大学を卒業している24歳の若者です。

准男爵というのは、「サー」の称号が付くので貴族扱いをされる存在ですが、正確に言うと貴族ではないという微妙な存在です。

少し頼りないサー・ジョゼフ。

その分、従者たちがしっかりしているのですが、従者たちというのが武術の達人である中国人の李にインド人ののゴーシュというふたりの男。

さらにメイドはアイルランド人のアニーという女性です。

そうです、まさに当時の英国が進出し、実効支配していた国の人間たちなのです。

そのため彼らは英国のことを皮肉に満ちた表現でボロカスに言うのですが、サー・ジョゼフはそれを許すという心の広さがあり、従者たちから支持をされているのでした。

サー・ジョゼフの家系は銀製の武器を使って怪物(?)と戦って来た存在で、人智を超えた怪奇現象が起こると依頼を受けて戦いに向かうのでした。

そのため「白銀騎士団」と呼ばれていました。

この本には50ページほどの短編が一編と6章に分かれた中編が収録されています。

中編は書き下ろし作品です。

おそらく短編が好評だったので続きが書かれたのかと思われます。

白銀騎士団・私的感想

予備知識なしに手に取ったので、最初タイトルを見たときは中世ヨーロッパの騎士物語ではないかと勘違いしていました。

しかし、いい意味での肩透かしでした。

皮肉に満ちた主人と従者たちの会話が、実に英国的でたいへん面白いのです。

銀英伝におけるヤン艦隊内の会話を思い出させてくれました。

歴史に詳しい田中芳樹氏ですから、当時の英国事情などもリアルに描かれています。

貴族の実態とか、十進法に逆らう英国独自の単位とか、英国人気質とか、今更ながら勉強になりました。

ボーア戦争とか歴史の授業でさらりと流されただけで実情をあまり知りませんでしたが、わかりやすく基本的なことを学ぶことができました。

英国人(この場合はイングランド人)に対しては、一応文化などを尊重しつつも、味覚オンチ、遺跡荒らしの墓泥棒、アヘンの密売人などと辛辣なセリフで表現されていました。

怪物退治の話自体はそれほど……という感想なのですが、私の場合は当時の社会情勢について知識を得られたのと、各キャラクターのセリフの言い回しの面白さを楽しんだように思っています。

この作品、これからシリーズ化されないかなとちょっと期待しています。

テンポよく読める作品なので楽しめますよ。

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