リメイク版銀英伝のアニメは、やはり前作に比べると物足りない。

漫画・アニメ

銀河英雄伝説とは?

銀河英雄伝説(略称:銀英伝)は田中芳樹氏原作の小説です。

第1巻は1982年に発売されました。
宇宙を舞台に、銀河帝国と自由惑星同盟というふたつの勢力が争う中での複雑な人間模様を描いた壮大な作品です。

また第三勢力としてフェザーンという商業国家があり、両勢力を天秤にかけて暗躍します。

主人公は銀河帝国に現れた天才ラインハルト・フォン・ローエングラムと自由惑星同盟の軍人ヤン・ウェンリーのふたりです。

主人公以外にも、それぞれが理念を持つ個性豊かなキャラクターが登場することも魅力です。

セリフ回しも、作者がわざと戯曲的な話し方をさせていると証言していますが、名言揃いです。

内容から「宇宙版三国志」「スペース・オペラ」などと評されることもあります。

原作小説は累計1500万部を超す人気で、現在も増刷されています。

ゲーム化もされ、こちらも人気でした。
もちろん、漫画化もされています。

道原かつみ氏によるバージョンと、現在も連載中の藤崎竜氏のバージョンがあります。
<道原版>


<藤崎版>

過去のアニメについて

1988年にはOVAという形でアニメが作られました(後にテレビ放送もされています)。
本編だけで110話に及ぶ大作でした。

映画化もされています。
いずれも石黒昇氏が監督を務めて作られたので、「石黒版」とも呼ばれています。

登場人物が600人以上に及ぶ作品なのですが、当時の日本を代表する声優たちが多数起用されていました。

そのため「銀河声優・・伝説」という異名があるほどです。

BGMには多数のクラシックの名曲が使われ、荘厳な雰囲気を出していました。

リメイク版アニメについて

さて、ここからが本題となるのですが、この銀英伝アニメが2018年にリメイクされました。

タイトルを「銀河英雄伝説 Die Neue These」とし、一旦、全12話で民放にて放送されました。

テレビ放送終了後は、続きを映画で……ということでさらに12話が映画化され上映されました。

そして、2020年4月より、元は民放で放送されていた作品が、なぜかNHKで放送されることになりました。

過去に民放で放送された12話と映画版の12話をあわせて、全24話が放送されることになっています。

現在(2020年4月24日現在)、第2話まで放送中です。

ちなみにOP曲とED曲はNHKで放送されるに当たり、新曲が投入されています。

NHKも放送前に特番を組むなど精力的に宣伝しています。

しかし、このリメイク版アニメの評判がいまいちなのです……

特に、前作の石黒版が素晴らしかっただけに、それを見ている人たちの評判がよろしくないのです。

不評の理由は?

不評の理由は個々人にあるでしょうが、大体、ネット上などにある意見を集約すると次のような感じです。

キャラクターのビジュアルイメージが違う

前作と作画監督が違っているのだから、当然と言えば当然なのですが、あまりに外見が変わっているキャラクターが多いです。

前作を見ている人間には誰が誰だかよくわかりません。

主役級のキャラはなんとかわかるのですが、名脇役的なキャラクターたちになると、もう誰が誰なのかさっぱりです。

キャラクターの個性の強さも魅力の作品だけにこれは致命的です。

一応、字幕が出て、キャラクター名は出るのですが、覚えられません。

しかも、前作キャラと似ている顔なのに別人物というキャラもいるのでますます混乱します。

あと、最近のアニメにありがちなのですが、キャラクターの顔が平板的というか、陰影みたいなものがあまりないのが気になります。
表情が乏しく見えるのですね。

声優陣が物足りない

前作は日本を代表する声優が起用されていました。

その人たちは、アニメ以外にも声の仕事をしていて、声を聞いただけで誰なのかわかるレベルの声優陣でした。

つまり、前作は声でキャラを見分けることも可能だったのです。

もちろん、今作も現在の人気声優陣を起用しています。

しかし、熱心な声優ファンにはわかるのかもしれませんが、たまにしかアニメを見ない視聴者には声までわかりません。

名前を聞いて、「ああ、聞いたことがあるな」というレベルです。

なので、作画問題と合わせて、誰が誰なのか余程の主要キャラじゃないとわからないのです。

話を省略しすぎ

もしかすると、これが一番大きな問題なのかもしれません。

石黒版でも話を省略していると言われていたのですが、今作はさらに省略しています。

かなりの駆け足で話が進んでいます。

確かに原作をそのまま再現すると冗長的になる部分があり、アニメとしてつまらない部分もあるかもしれません。

しかし、銀英伝の魅力は壮大でありながら、緻密な構成がされている部分も大きいのです。

それがかなり省略されては、話が平板になってしまいます。

原作を読んでいる人間から見ると、まるでダイジェスト版の銀英伝にさえ見えてしまいます。

このあたりは放送局の都合やスポンサー枠などの問題があるのかもしれませんが、肝心のストーリー展開がこれでは魅力が半減してしまいます。

せっかくスポンサーが関係ないNHKに放送局が移ったのですから、再考してもらいたいですね。

BGMが物足りない

前作は戦闘シーンを初め、クラシックの名曲が効果的に起用されていました。

それが荘厳なイメージを与えていました。

今作ではそれがありません。

別にクラシック至上主義ではありませんが、前作の上を行くBGMかといえば、違うと思います。

あと、OP曲とED曲も悪くはないのですが、前作の秋吉みちるや小椋佳の曲と比べるとどうかな……と。

良いところはあるかと言われると……

CGなど現代の技術が投入されて、戦闘シーンなどは迫力がアップしています。

メカニックデザインも前作を大きく崩すことなく維持しているのは好感が持てます。

ですが、これくらいしか思い浮かびません。

戦闘シーンの迫力はアップしていても、肝心の戦術を駆使する魅力が省略されていては、手に汗握るものがありません。

最後に……まとめ

私は銀英伝の原作小説を5回ほど読み返しています。

漫画もすべて読んでいます。

ゲームもプレイしています。

もちろん、前作アニメもすべて見ています。

だから、勝手に作り上げている固執したイメージ像があるのかもしれません。

もしかすると、初めて銀英伝の世界に触れる人には、このリメイク版アニメはちょうどいいのかもしれません。

絵柄や音楽、声などは人によって好みがわかれると思いますし。

しかし、このリメイク版銀英伝を見て、この程度の作品なんだと思われるとなんだか口惜しいのですよね。

「もっともっとすごい作品なんですよ」と言いたくなるのです。

今後、24話以降が製作されるのかはわかりませんが、マニアをうならせるような作品になってくれることを祈ります。

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↓リメイク版アニメのブルーレイです。

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