はじめに・美味しんぼとは?
究極のグルメ漫画「美味しんぼ」。
雁屋哲原作、花咲アキラ作画。
コミックスは111巻まで発売されていて、発行部数は1億部を超えている大ヒット漫画です。
「究極」という言葉は流行語となり、グルメブームを引き起こした漫画でもありました。
近年は作者の政治思想的なものが入り、いろいろと批判もありますが、食べ物に関する姿勢については感服することしばしばです。
2014年から現在(2019年)まで休載が続いていますが、再開が待たれるところです。
この漫画、長期連載漫画にありがちな登場人物のキャラクター設定が揺れていることでも有名です。
当初は大物扱いだった大原社主が小物な親父になったり、社主に反抗的だった小泉編集局長が社主にごますりをする人物になったり、鬼と呼ばれ強面だった中松警部がいつの間にかギャグキャラになってしまっています。
山岡の父、海原雄山も初期は怒って食べ物を投げつけるような粗暴な人物でしたが、いつの間にか人格者扱いになっています。
作風も、当初は劇画風のシリアスな漫画だったのに、一時期トレンディドラマのような話になり、近年は作者の政治的主張をする場となっています。
いつ頃からか、ギャグ風の表現が使われるようにもなりました。
しかし、漫画的な誇張された表現があるとはいえ、主人公たちが働く東西新聞社って、結構ブラック企業なんじゃないかなと思うようになりました。
給料や福利厚生の内容は作中からはあまり読み取れませんが(安月給をバラさないでくれと言っているシーンはあります)、結構、主人公の山岡士郎は上司たちからひどい扱いを受けているのではないかと思います。
自分が主人公なら絶対務めたくない会社のように見えます。
以下にいくつか例をあげます。
パワハラ、暴力
一番目につくのがパワハラです。
漫画的な誇張があるとはいえ、主人公は上司たちから何度も殴られています。
主人公が軽口を叩いて、殴られるというパターンは仕方がないとは思いますが、興奮した社主が主人公に湯呑を投げつけ、「おまえはクビだ!」と叫んでいるのはさすがにどうかと思いました。
後に和解はしていますが……
また、事あるごとに上司たちは「問答無用、業務命令だ!」と叫び、主人公に無理矢理、仕事を押し付けています。
それも結構、理不尽なものが多いです。
不当解雇
「おまえはクビだ!」とギャグ的に使われることもありますが、それはともかく、個人的に驚いたのは山岡の上司である谷村部長に対して、大原社主が言った言葉です。
谷村家の宴席にアメリカ人の女性が参加していたのですが、そこに谷村部長の知人という米の輸入自由化を反対する男性が途中参加。
このふたりが口論となり、男が暴言を吐いたため、女性は耐えきれずに中座して帰りました。
この女性の兄が輸入自由化を訴えている上院議員だったというわけで、騒ぎとなります。
その際、大原社主は「アメリカと揉め事を起こすような人間を我が社に置いておくわけにはいかん!」「谷村君、今すぐ辞めてもらうぞ、いいな」などと谷村部長に解雇を通告しています。
こんなことっていいのでしょうか?
最終的には山岡が解決するのでクビは免れるわけですが、罪を犯したわけでもないのに解雇ってあることなんでしょうか?
大原社主といえば、当初はマスコミ業界の大物で、日本の言論界に必要不可欠と評された人物。
懐の深いところが魅力だった人物なのですが、キャラクター設定の改変はあったとはいえ、この発言はどうかと思いました。
公私混同?休日出勤?
大原社主や小泉局長、富井副部長を初め、家庭内で頻繁にトラブルが起こるのがこの漫画の特徴でもあるのですが、皆が山岡を頼って来て、無理矢理解決させようとします。
勤務時間外にもかなり協力させられています。
初期の頃は、無理矢理お見合いをさせられるエピソードもありました。
それだけ解決させておいても感謝はそのときだけで、普段は山岡を平気で殴るのだからひどいものです。
職場環境
東西新聞社の空調設備はなぜかよく壊れます。
物理的な職場環境も悪そうです。
当初は分煙もされてなかったし、女子職員を雑用に使ってもいましたっけ。
モラハラ?
山岡の妻、栗田ゆう子は当初、萌キャラだったのですが、いつ頃からか綺麗事を並べて山岡に役割を押し付ける嫌な女になりました。
勝手に自分が大見得を切ってきて、尻ぬぐいだけ山岡にさせるエピソードが何度かありました。
「まあ、手伝ってくれないの!」なんて、手伝うのが当然という態度を取ることもありました。
誰かを助けないと「男じゃない!」なんてセリフを吐いたことも。
そういえば、山岡が職場の冷蔵庫に置いておいた山ぶどうジュースを皆が勝手に飲むなんてこともありました。
山岡が京都で買った鯖寿司を差し出せと言って、ひとつ奪ったこともありました。
山岡と栗田がまだ付き合っていなかった段階なのに、山岡が他の女性と仲良くしていると、なぜか同僚にビンタされるシーンもありました。
読んでいて、これはどうなんだろうと思いました。
最後に・あくまで冗談です
いくつか例をあげましたが、別に作品にケチをつけて作者に訂正を要求するようなつもりはまったくありません。
タイトルにも書きましたが、あくまでこういうふうにも読めるよ、という冗談です。
作者も「業務命令だ!」連発をやりすぎたのかなと反省しているような話もありました。
読者の声も少しは届いているのではないですかね。
ただ、湯呑を山岡に投げつけた件と谷村部長をクビにしようとした件は、本当にこれはひどいなと思いました。
ここまで書いておいてなんですが、考えてみると、職場でグースカ寝ている山岡をクビにしていない時点で、東西新聞社はブラックではないのかもしれません。
美味しんぼは休載が続いていますが、大団円のラストを用意しているような報道が以前にありましたので、早く連載を再開していただきたいですね。
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