「21エモン」は他の藤子作品に負けない傑作だが、なぜ影が薄いのだろうか?

漫画・アニメ

「21エモン」という漫画をご存知でしょうか?
藤子・F・不二雄先生が60年代後半に描かれていた漫画です。
少年サンデーなどで連載されていました。
90年代にはアニメ化もされています。
藤子・F・不二雄先生の漫画だからマイナーというわけではないと思います。
みなさん、名前くらいは聞いたことはあるかと思います。
しかし、この漫画「ドラえもん」や「パーマン」に負けない面白さなのに、少し評価が低い気がするのです。
個人的に大好きな漫画なので、もっと多くの人に読んでもらいたいと思い、紹介させていただきます。

21エモンとはどんな作品?

舞台は21世紀、2050年頃の設定になっています。
この頃の地球は宇宙人から伝えられた科学技術によって、高層ビルが立ち並び、高度な科学文明を迎え入れた未来都市になっています。
エアカーが走り、食糧は合成して作れる時代となっていました。
1900年代後半、地球は第三次世界大戦と核戦争の危機を迎えようとしていましたが、宇宙人の仲介によって救われ、その後、世界連邦政府が誕生。
地球自体がひとつの国のようになり、宇宙人たちとの交流も始まります。
宇宙人たちが気楽に地球に観光に来るようになり、地球人たちも宇宙旅行を気楽に楽しめる時代になっていました。
中学生である主人公が遠足で火星に行くエピソードもあります。
主人公の21エモンはトーキョーシティに住み、歴史あるホテル「つづれ屋」の跡取り息子でしたが、宇宙船のパイロットになりたいという夢も持っていました。
「つづれ屋」は江戸幕府の始まりとほぼ同時から続く歴史あるホテル(旅館)でしたが、あるのは伝統だけで、ちっぽけな建物と設備しかないため、近接するホテルギャラクシーやオリオンホテルらに押され、いつ倒産してもおかしくない状態でした。
そんな旅館ですから、珍しくやってくる客には個性的な面々が多く、毎回、珍騒動が起こります。
また、ボーイとして働きながら、宇宙船を買うためのお金を貯めていた21エモンは、物語の後半、念願の宇宙船を買い、宇宙へと飛び出します。
宇宙編もコミカルな話から、少し怖い話まで、多種多様なストーリーが繰り広げられます。

「つづれ屋」について

先述したように江戸時代の始まりと同じ頃に創業された歴史あるホテル(旅館)ですが、設備が少ないため、観光局の指定ホテルにもなれない有様でした。
外見は他の高層ビルとは程遠い、低階層のオンボロホテルです。
通常、お客はほとんどなく閑古鳥が鳴く状態。
チップがほしい21エモンらが強引な客引きをすることもありました。
資金残が10,999円しかなく、ロボット販売業者のセールスマンから「わが社はおもちゃ屋ではありませんぞ」と立腹されるほどでした。
隣にあるギャラクシーからはトイレを建て増しするために土地を売ってくれと言われ、父の20エモンが「失礼な!」と断る場面も。
それでも、一応は宇宙人を受け入れられる最小限の設備はありました。
宇宙人が宇宙服を脱いでも過ごせるように部屋の気候を調整することもできます。
料理を出すお金がないときはゴンスケのイモを出したことも(しかも、水道やガスや電気が止められていたため、生の状態で提供しました)。
こんな状態だから、21エモンも跡継ぎになりたくない面があったのかと思われます。
なお、ドラえもんにつづれ屋が登場する話もありました。21エモンの祖父である19エモンと若き日の父、20エモンが登場しています。

登場人物紹介

つづれ屋21エモン

この作品の主人公。
つづれ屋ホテルの跡取り息子ですが、宇宙パイロットになりたいという夢を持っているため、板挟みになっている面もあります。
普段はボーッとして、とぼけたところがあるのですが、いざとなると頑固な一面を見せることも。
原作では中学生、アニメでは小学6年生という設定です。

モンガー

第一話に登場するササヤマ星人が宿代の代わりに置いていった宇宙生物。
愛らしい形の生物です。
3キロ範囲限定ながら、テレポーテーションや透視の超能力を持ち合わせています。
人間の言葉を理解できますが、元々の性分が無口で、月に1回程度、ひとことしかしゃべらない生物でした。
しかし、ある宇宙人が操作していたラジコンが尻尾(モンガーは尻尾の中に脳がある)に当たり、当たりどころが良かったため、そのあとはうるさいくらいのおしゃべりになります。

ゴンスケ

元々、イモ掘り用に作られたロボット。
廃棄されそうになったところを安くつづれ屋に買い取られ、ボーイとして働いています。
ホテルの仕事にはやる気を出しませんが、イモ作りへの情熱は高く、つづれ屋の一室をイモ畑にしたり、後に21エモンが買った宇宙船の中の一室にもイモ畑を作りました。
また、資産作りの才能があり、イモの販売代金などを元手にかなり小金を貯め込んでいる描写があります。
モンガーとは口喧嘩友達という関係でしょうか。
東北弁のような喋り方をします。
他の藤子作品にも登場する作者のお気に入りキャラです。

つづれ屋20エモン

21エモンの父。
つづれ屋20代目当主。
歴史あるつづれ屋を誇りに思い、21エモンが跡をついでくれればと常に考えていますが、宇宙パイロットになりたいと考える息子に頭を抱えています。
しかしながら、息子の夢をかなえてやりたいという親心も持っています。
昔気質で、頑固な面もあり、賄賂を要求した宇宙人の誘いをきっぱり断ったこともあります。
チョビヒゲが特徴的。

21エモンの母(名前設定なし)

料理を担当したり、宇宙人用に部屋の設定を行うなど、つづれ屋の裏方を仕切る存在。
容姿は美人に描かれており、性格も温厚。
21エモンが宇宙へ行くことにも賛成する心の広い人物です。

オナベ

メイドロボット。
外見はオバケのQ太郎に登場するキャラのような感じで、中年女性のイメージです。
モンガーがテレポートを駆使して、つづれ屋に客を強引に呼びこむようになったところ、忙しくなったため、人手が欲しくなりました。
そこで、11,000円で安売りになっていたこのロボットを買うことになりました。
働きもので、よく気がつくのですが、異常なまでにおせっかいなのが安売りされていた理由でした。
怪力の持ち主で、ゴンスケは彼女に頭が上がりません。

ルナ

ホテルギャラクシーの娘で、21エモンの同級生でもあります。
商売上はライバルですが、21エモンのガールフレンドとも言える存在です。
21エモンが「ギャラクシーの宣伝が派手だから、つづれ屋が潰れそうだ」と訴えると、「お金をかけずに宣伝をする工夫をすればいい」と反論するなど、商売上はドライなところもあります。
アニメのラストでは21エモンと結婚する設定となっています。

カメキチ

同じく21エモンの同級生。
小柄で口が尖っているのが外見的特徴。
ドラえもんでいうスネ夫キャラ。
アニメには登場しません。
代わりにリゲルというオリオンホテルの息子が同じような役割で登場します。

21エモンは映画化もアニメ化もされています。

映画は「宇宙へいらっしゃい!」というタイトルで、1981年にドラえもんの映画と同時上映されました。
つづれ屋の土地を買収したいホテルギャラクシーが21エモンの目をホテル経営ではなく、宇宙パイロット方面へ向けようと資金援助をし、宇宙旅行をさせるような話です。


また、後述するアニメをベースにした「21エモン・宇宙(そら)いけ! 裸足のプリンセス」という作品も作られています。

アニメは1991年から92年へかけて、テレビ朝日で放送されました。
全39話。
原作が60年代に描かれた話であるため、当時描かれている未来社会が、90年代の人間から見ると古く見えることもあり、かなり原作から改変がされていました。
先述したように、カメキチではなく、リゲルという少年が登場するのも一例です。
モンガーが最初からおしゃべりできたり、21エモンが宇宙パイロット一筋という設定でもありました。
ドラえもんがカメオ出演もしています。
なお、主題歌はOP曲をジャニーズのグループ「忍者」が、ED曲を前期は谷村有美が、後期は幽幻道士シリーズで有名なテンテン(リュウ・ツーイー、シャドウ・リュウ)が歌っていました。

どうして、メジャーな作品になれないのだろうか?

他の藤子作品と比べて、まったく遜色なく面白い作品なのに、なぜ人気が出ないのか不思議でなりません。
ドラえもんはともかく、パーマンくらいの扱いを受けてもおかしくはない作品だと思うのですが。
ひとつの理由としては、話数が少ないというのがあるのかもしれません。
だからアニメ化もしづらいのかと。
皮肉めいた少し怖い話があるのも、子供向けではないのかもしれません。
例えば、宇宙で二番目に科学が発達した星では、医学が発展して人が死ななくなったため、老人が退屈だと言って、すべてが無になるという施設に入っていくような話があります。
宇宙で一番科学が発達した星は、太陽の黒点異常で、すべての電気系統が狂い、原始時代に戻っています。
主人公たちが小枝を折っただけで怪力だと驚き、軽くジャンプしただけで、宙を飛んだと驚かれます。
掲載誌が少年サンデーだったので、少し対象年齢高めに描かれたのですかね?

ですが、個人的には90年代に放送されたアニメの出来がイマイチだったのが原因だったのではないかと考えています。
アニメのスタッフには申し訳ないのですが、原作をすべて読みこんだ私としては、アニメのテンポや改変が良い方向に受け取れませんでした。
未来の描写が古臭いから新しくしたという意気込みはわかるのですが、それが逆に原作の良さを殺してしまったように思いました。
確かゴールデンタイムに放送されていたはずですが、裏番組が強かったのか、視聴率的にも振るわなかったはず。
当時、金曜19時に放送されていたドラえもんの後にでも放送されていたら、相乗効果で人気が出たのかもしれませんが……
このアニメ作品がもっと高く評価されていたら、何度も再放送されたり、原作ももっと売れたのではないでしょうか。
面白い作品なので、もっと多くの方に読んでもらいたいですね。

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