「みどりのマキバオー」はドバイワールドカップ編だけが余計だった。

漫画・アニメ

「みどりのマキバオー」とは?

1994年から1997年にかけて週刊少年ジャンプに連載されていた競馬を題材とした漫画です。
作者はつの丸氏。


人気だったのでアニメ化もされました。

大型の犬くらいの大きさしかない白毛馬ミドリマキバオーが様々なトラブルを乗り越えて、立派な競走馬になっていくのがメインテーマとなっています。

また彼によって駄目騎手だった山本菅助くんを初め、周囲の人物たちが成長していくのも魅力でした。

熱い物語でもあるのですが、一方で肩の力が抜けるような下品なギャグシーンもあり、そのギャップも面白さの秘密でした。

馬やネズミが人間と会話できるという設定も画期的でした。
マキバオーなんか、椅子に座って騎手や調教師たちと作戦会議をするくらいです。

わずか3年ほどの連載で、ジャンプコミックスでは全16巻で完結という今どきの漫画と比べると短い物語なのですが、今も根強い人気を誇っています。

主な登場人物(馬)

ミドリマキバオー(うんこたれ蔵)

G1馬のミドリコから生まれたものの、大型の犬くらいの大きさで、間違えてロバと配合されたのではないかと疑われる姿でした。

あやうく馬肉にされるところでしたが、優れた競争能力を持っていることがわかり競走馬に。

初めはレースを怖がり、手を焼かせる馬でしたが、ライバルからの刺激や周囲の協力により、ダービー馬(同着)となるほど成長します。

山本菅助

マキバオーの主戦騎手。
小柄な体格だったためマキバオーを唯一乗りこなせる存在に。

騎手をやめようかと思っていた矢先にマキバオーと出会ったことで、彼も成長していきます。
もうひとりの主人公?

飯富虎昌

マキバオーの才能を見抜き鍛え上げた調教師。

菊花賞前にスタミナを付けるため障害練習をさせたり、モンゴルに放牧させるなどスパルタとも言えるユニークな方式を取る人物。

※菅助同様、この漫画は戦国武将の名前をもじった登場人物が多いです。

チュウ兵衛

森に住んでいた野良ねずみ。
マキバオーに競馬の駆け引きを教えた存在。
マキバオーからは「親分」と呼ばれる。
落馬したことが原因で死亡。

カスケード

マキバオー最大のライバル馬。
漆黒の馬体が特徴的な馬。

普段はクールな振る舞いながら、レースでは時々熱い姿を見せることがありました。

その能力は驚異的で朝日杯、皐月賞、NHKマイルカップ、ダービー(マキバオーと同着)を制し、凱旋門賞に挑みますが……

途中まではすごく面白かったのですが……

いわゆる三冠レース(皐月賞、ダービー、菊花賞)を戦い、有馬記念に勢揃いしたライバルたちと戦うところまでは非常に面白い漫画でした。

マキバオーが連戦連勝というわけではなく、結構負けるところも個人的には良かったと思っています。

カスケードは訳あって引退するのですが(理由は作品を読んでください)、その後は古馬戦線、天皇賞や宝塚記念を目指すと思われていました。

おそらく私だけでなく読者の多くはそう考えていたと思います。

カスケードは引退しましたが、それ以外にもアマゴワクチンやニトロニクスなど、魅力的なライバルたちがたくさんいましたしね。

しかし、少年ジャンプ的というか、誰がアイデアを出したのか不明ですが、ワールドカップ編という新たな戦いが始まります。

いわゆる天下一武道会的な路線です。

ドバイの地に世界各国の代表馬が集まり、国別対抗でポイントを競い合うレースを行うという設定でした。

このときカスケードと凱旋門賞で戦ったライバル馬たちも登場し、一瞬期待できる内容かと思われたのですが……

残念ながら、レースが競馬とはとても言えないような障害物競走という内容でした。

例えば、森の中を抜けて戦うレースでは、互いに馬体をぶつけ合って競い合うなんて内容でした。

先の方に行くとコースが狭くなるという直線競馬のレースがあったのですが、なんとマキバオーがラチの上に乗って走るという有様です。

他にも4000mの起伏の激しいコースを走り、多くの馬が潰れて行くなんてレースも……

はっきり言って期待はずれでした。

作者の力量でなんとかある程度は読めたのですが、もはや競馬ではない別の競技をしているという感じでした。

事実、不評だったのかワールドカップ編でマキバオーは大ケガを負い、半ば無理やりという形で終了します。

最後は有馬記念から名前を変えた「ジャパンチャンピオンシップ」という架空のレースにオールスターが集まり、かつてのような熱い戦いが行われるのですが、レースの終盤というところで連載が打ち切られ、後に「赤マルジャンプ」にて最終回が描かれます。

なかなか良い最終レースでしたので、ワールドカップ編を行わず、そのまま古馬路線なり、凱旋門賞を狙うなりのまともなレースを行っていれば……と今でも思います。

続編「たいようのマキバオー」

不本意な終わり方をしたものの、根強い人気を誇った漫画だったので、後に週刊プレイボーイにて「たいようのマキバオー」という作品が連載されます。

途中からはWEB連載となりました。


こちらは当時人気が低迷していた地方競馬を舞台としています。

主人公はミドリマキバオーの妹マキバコから生まれた「ヒノデマキバオー」です。

高知競馬でマスコットキャラとしては人気だったものの、成績は低迷していた同馬が後に中央競馬にも乗り込み、G1馬となる物語です。

かつて「みどりのマキバオー」で活躍したライバルたちがレジェンドとして登場したり、山本菅助騎手が一流のベテラン騎手となって登場するなど、前作ファンも満足できる作品となっていました。

ギャグもシリアスな熱い物語も健在で、ワールドカップ編のような余計な要素はありませんでした。

前作に絶望して途中で読むのを辞めた方には、ぜひ読んでいただきたい作品ですね。

近年、インターネットの普及によって地方競馬も売上を伸ばし盛り返して来ていますが、その一助となった作品ではないかとも思います。

最後に

返す返すもワールドカップ編だけが余計だったと今でも思います。

しかし、歴史は変えられませんし、その失敗があったから面白い続編が作られたのかな……とも。

作者は以前インタビューにて、もうこのような漫画は描かないようなことを語っておられましたが、時々でいいから特別編的な作品を読みたいですね。

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