美味しんぼのキャラクター変遷 この漫画はどこで失敗したのか?

漫画・アニメ

グルメブームを批判しながらも、逆に一億総グルメ評論家を作り上げてしまった偉大な漫画「美味しんぼ」。

2024年2月現在休載中で、再開が待たれるところです。

この漫画、登場人物の性格が大きく変わっていることでも有名です。

どんなふうに変わったのか、まとめてみました。

美味しんぼ登場人物の性格変遷

山岡士郎

本作の主人公、山岡士郎。

母親が死んだのは父親である海原雄山に馬車馬のようにこき使われたからだと思いこみ、グレた経緯があります。

最初期の頃、この山岡は胡散臭いチンピラのような雰囲気を醸し出していました。

仕事をサボるグータラ社員という設定は変わらないのですが、最初期は皆が近寄り難いというイメージがあり、のちに頼まれごとばかりするイメージとはかけ離れていました。

ギャンブル好きで宵越しの金は持たないというタイプでした。

のちに賭け事に狂った料理人を非難する話があるのですが、連載初期を知るファンは噴飯物でした。

無精髭があったり、口元は少し尖っていて、スーツも着崩した不良社員というビジュアルでもありました。

鮟鱇釣りをしに行った際、グチクチ言う漁師たちに「文句を言う奴は海に叩き込むぞ!」とすごんで黙らせるシーンも。

それが、いつの間にか冗談を言っては皆から殴られるようなキャラクターに……

威張り散らす権力者に刃向かう基本姿勢は変わらないものの、ずいぶん丸くなったなという印象です。

これをキャラクターの成長と見るか、面白くなくなったと見るかは評価の分かれるところですね。

栗田ゆう子

美味しんぼの影の支配者、栗田ゆう子。

この作品のナレーションを務めているのが彼女であり、彼女が東西新聞社に入るところからこの作品は始まることもあり、彼女こそが主人公と言っても差し支えない存在です。

最初期の頃は萌キャラでした。

優秀で度胸のある女性ではありましたが、まだまだ知識と経験が不足しているところがあり、そこを山岡にカバーしてもらうことで難題をこなしていくというのが初期に見られたパターンです。

博士と助手とでも言うべき王道パターンの組み合わせで、難題をこなす山岡の姿を見て、彼に惹かれていくのが読者にもわかり、微笑ましく見えたものなのですが……

いつ頃からか、綺麗ごとばかりを言う嫌なキャラになりました。

髪型が大人っぽくなったあたりから萌キャラ要素が消えました。

勝手に揉めごとを起こして来たり、頼みごとを引き受けて来たりしては、解決を山岡に押し付けること多数。

助けないと「あなた人間らしい心を持ってないの?」などとひどいセリフ。

やがては海原雄山をもやり込めるようなキャラに成長(?)しました。

しかも、作中では美化されていて、他の登場人物たちからなぜか絶賛されている始末。

読者の感覚とズレを感じました。

さすがに作者に批判の声が届いたのか、少し見直されつつあるところで連載が止まっています。

海原雄山

山岡士郎の父親であり、偉大なる美食家、芸術家である海原雄山。

いつ頃からか人格者のような扱いに変わりましたが、初期の頃はただの乱暴かつ横暴な昭和のジジイでした。

見るからに悪人面をした胡散臭い連中を引き連れ、料理をまずいと言っては皿を放り投げたり、料亭の女将をいびったり、大声で相手を怒鳴り散らしたり……

東西新聞の面々を「味のわからん牛や豚」なんて呼んだこととも。

山岡でなくても、こんな父親がいたら嫌だと思ったものです。

とはいえ、そんな海原雄山を時には山岡がやり込めるのが面白かったですし、素直に負けを認めないものの、山岡が出した食べ物がうまいということは否定しなかったり、ラスボス感があったり、と大物には見えました。

ところがいつの間にか自制心と常識のある人格者とされていました。

まあ、妻をいびっていたように見えたのが山岡の誤解ということはわからなくもない表現はあったのですが……

近年は涙を流すシーンもありました。

栗田にやり込められるシーンも多数。

これもキャラクターの成長でしょうか?

大原社主

東西新聞の社主であり、日本言論界に欠かせない人物と評される大物、大原社主。

確かに最初期の頃はチンピラ同様の山岡をも温かく見守る大きな存在でした。

初登場時など、文化部の集まりに現れた大原社主に社員たちが震えたほどです。

ところが、この方もいつの間にか見栄っ張りで周りの目ばかりを気にして、部下の功績を妬むような小人物に。

海原雄山からは「肝の小さい人物」などと評されたことも。

さらにはギャグ的表現も若干入っているとはいえ、山岡に対する暴力が多数。

「問答無用、業務命令だ!」と理不尽に叫ぶシーンには嫌悪感さえ感じました。

大物のはずが、オロオロするシーンが多数な上、怒りを抑えられず山岡に湯呑みをぶつけるシーンまでありました。

若干、過去の大物感を取り戻すような話もありましたが、基本的にはただの意固地な嫌なジジイになってしまいましたね。

小泉編集局長

この漫画で最も性格の変わった人物。

初登場時は究極のメニュー作りに反対する急先鋒で、大原社主をして「ワシに逆らっても出世しているのは小泉くんくらい」とまで言われるキャラでした。

ところが、長年ヨーロッパにいた経験をひけらかし、カッコつけて見せる嫌味なキャラという基本設定は変わらないのですが、なぜかゴマスリキャラに変わってしまいました。

逆らっていたはずの大原社主にひたすら見えついたお世辞をいう姿はかつてを知る者には一体なんなのか……

実は猫好きだとか、貧しい時代の母親のことを思い出し、涙するシーンなどは良かったのですが、社主に意見できる設定が崩されたのはもったいないかなと。

谷村部長

基本的に人格者な谷村部長。

山岡たちをかばうところもあり、間違っている時には怒ることもある良い上司です。

この方は大きく変わってはいないのですが、最初期の頃は少し腹黒く見えるシーンがありました。

マージャンのセミプロなんて部員から言われているシーンも。

清濁合わせ飲む奥深いキャラに見えましたが、途中からはひたすら良い人になっているような……

中松警部

かつて「鬼の中松」と呼ばれた警視庁の警部。

登場時はヤクザに間違えられる強面で、奥の深さが見える人物でもありました。

「初めて女に惚れた!」なんてエピソードもありましたが、それもキャラ設定自体は崩していなかったと思います。

ところが、この人もいつの間にかギャグキャラに。

人情味溢れるキャラ設定自体は崩れていないとは思いますが、大物感は消えました。

富井副部長

この人は何も変わってません。

最初期の頃から小人物で、小市民の代表。

酒乱で調子に乗って大失敗多数。

嫌味なところもありますが、皆から微笑ましく見られるタイプかと。

美味しんぼの失敗はどこにあるのか?

失敗と決めつけるのはおこがましいところがあるのですが、この漫画が途中から面白くなくなったのも事実。

作者の政治的スタンスがどうこういう意見もありますが、大メーカーなどの批判をするスタンスは元からですし、そこは大きな要素ではないかと。

ネタ切れというのもひとつだと思います。

初期の頃は出て来た料理の次元が違うという感じでしたし、聞いたことのない調理法などにも驚いたものです。

そう言ったものが減って行き、気づけば「究極対至高」のバトル物に……

それさえ、ネタがなくなると、今度は日本全国を回ることに。

意地悪な見方をすると引き延ばしと見えなくもありませんでした。

個人的には、コミックスでいうと20巻前後くらいからの恋愛要素を入れようとしたあたりから怪しくなったと思っています。

当時流行していたトレンディドラマの影響でも受けたのでしょうか。

その頃登場した二木まり子らは悪いキャラではなかったと思うのですが、作者さんは恋愛物を書くのが苦手だったのではないかと今でも思います。

わざとらしいオーバーアクションやギャグ要素も加わったこともあり、読んでいて恥ずかしくなるような話も。

そこに綺麗ごとばかり言う栗田ゆう子や、パワハラ気味の大原社主や小泉局長の姿を見ると、料理がどうこう以前にストーリーとして面白くなかったですね。

山岡、栗田のふたりが結婚したあと現れた金上という男も深みのない悪役で、期待ハズレに終わりました。

山岡と雄山が和解した現在、どうやって今後話を進めていくのでしょうか。

長く休載が続いていますが、愛読者のひとりとして心配です。

批判ばかり書きましたが、初期の面白さを知っているだけになんか歯がゆいのです。

あの頃の面白い美味しんぼにもう一度帰って来てほしいですね。

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