「ハドソン伝説」とは?
ファミコン初のサードパーティとなったハドソン社について書かれた同人誌(?)です。
ハドソンという会社の成り立ちから、ファミコンへの参入の経緯、ハドソン名義で発売されたソフトなどについて、当時の関係者からの証言をまとめて記されています。
作者は岩崎啓眞氏。
プログラマーでもあり、ライターでもある方です。
日本ファルコムやハドソンでソフト作成に関わっておられたようです。
以前、「イース通史」という本を紹介したこともあります。
「ハドソン伝説」の内容紹介
大きくは3部に分かれていました。
「ハドソンという会社」
ハドソンの歴史、ファミコンへの参入過程や、ハドソンに関わる人物たちの紹介がされています。
高橋名人は言うまでもなく、中本さんや野沢さんといったプログラマーは、ある程度の年代の人ならご存知でしょう。
「8ビットゲームマシンの技術」
この章は技術的なことや機械的なことにページが割かれていました。
ブラウン管はどうやって絵を表示しているのかというレベルから、画面がスクロールしているように見えるかはなぜかというレベルまで書かれています。
理系的な知識がないと少し難しい内容でしたが、勉強にはなる章でした。
「ファミコン時代の伝説」
この章は「ファミリーベーシック」や「ロードランナー」を初めとする、ハドソンの各ソフトについて1本ずつ説明がされています。
それぞれのソフトを誰がプログラマーを務めたか、グラフィックは音楽は……という具合に丹念に掘り下げられています。
ソフト作成時のゴタゴタなど裏話が盛りだくさんで読み応えがあります。
個人的に面白いなと思った証言
・「ロードランナー」のキャラが歩くパターンはマリオの歩き方を参考にしている。
・「ナッツ&ミルク」は「ロードランナー」が権利的な問題で発売できなくなった際に備えて作られた。
・任天堂から発売された「四人打ち麻雀」は、実はハドソンの開発。
任天堂は「二人打ち麻雀」をヒットさせていたので、このソフトを自社ブランドで発売したかった。
・「スターフォース」はテーカン社(後のテクモ)からプログラムソースをもらったのではなく、目コピで作られた。
・「チャレンジャー」の列車面は「暴走特急SOS」というゲームが参考にされている。
・「ボンバーマン」に「ロードランナー」のキャラが流用されているのは、中本氏が面倒くさがりだったから。
・「忍者ハットリくん」は「パックランド」と「グラディウス」の影響を受けている。
・「スターソルジャー」は当初「スーパースターフォース」という仮タイトルでコロコロコミックで発売予定の発表がされた。
・高橋名人の連射速度が早すぎて、開発途中のスターソルジャーは処理が追いつかず、バグを起こした。
・「迷宮組曲」など、当時のハドソンゲームの難易度が高かったのは、テストプレイをしていた高橋名人がうますぎたから。
・「ドラえもん」の作成は急遽発生したプロジェクトで、時間的余裕がなかったので、各面をそれぞれ違うプログラマーが作った。
・当初のドット絵ではドラえもんのヒゲは2本しか書かれていなかったが、小学館からの抗議で3本になった。
・「Bugってハニー」は別々に作られていたふたつのゲームをひとつにした。
・「ミッキーマウス」はディズニーからの制約がかなりあり、攻撃方法を決めるだけでも苦労した。
などなど、他にも面白い証言がたくさんあります。
こればかりは読んでいただくしかないですね。
私的感想
私は高橋名人に憧れた世代で、スターフォースやスターソルジャーに燃えた人間です。
連射の練習を何度もしたものです。
それだけにハドソン社への愛着があり、大変興味深く読むことができました。
ただ、理系人間ではないので、技術的な部分では理解不能なことも多々ありましたが……
理解はできなくても、ゲームを作ることにかなり高度な技術が使われていていることはわかりました。
また、当時のゲーム制作者たちが今とは比べ物にならないほどの低スペックであるハードを使って、極限までの手を尽くし、苦心をしていたのもよくわかりました。
そんなことを知らず、当時の自分は「こんなゲームつまらん」などと平気で言っていたわけで、今思うと恐れ多いことです。
この本はどこで買える?
この本は秋葉原にあるBEEPという店で買えます。
通販サイトもあります。
人気なので、売り切れていることも多いようです。
なお、現在、「ハドソン伝説2」という本も発売されており、世界で一番「バンゲリングベイ」について書かれた本と称されているようです。
2022年追記「ハドソン伝説2」も読みました。
2作目も読みました。
宣伝どおり、バンゲリングベイについて、かなり詳しく書かれていました。
その他、高橋名人、シュウォッチ、迷宮組曲に関することなどについても触れられていました。
当時のゲームにタイムリーに燃えた世代として、歴史的な証言が数々あり、一連の本は歴史書の一種ではないかと思うほどでした。
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