遺書代わりの書
2004年、惜しくも世を去ったザ・ドリフターズのリーダーいかりや長介さん。
「だめだこりゃ」は2001年にそれまで多くを語らなかったいかりやさんが、「遺書代わりに書いた」という自伝です。
「音楽は四流、笑いは素人、でもそれがドリフターズだった」
「こんな人生ですが、ひとつ読んでやってください」
と、謙虚な姿勢で書かれています。
本書の内容について
基本的には自身の人生について語られています。
生い立ちから、ドリフの結成、さらには分裂、音楽からお笑いの道へ……
全員集合の舞台裏や、トラブルの数々……
当事者しかわからない証言が書かれています。
コントの出来について、父親に相談していたということも赤裸々に告白されています。
父親が高齢で死去された際、まわりから「もういいでしょ」と言われたのに、「私の人生に父がいなかったことは今までなかった」と書かれています。
その記述から、いかりやさんが亡くなられたあと、「ファザコンの一面があった」と書いたメディアがありました。
本人以外のことでは、ドリフの各メンバーについていろいろな思いを書かれています。
特に冒頭、荒井注さんについて触れられていて、複雑な思いがあったように思われます。
各メンバーについては、けなしているようで、最後には褒めるというような形ですかね。
ドリフが分裂した際に、高木ブーさん、仲本工事さんなどを誘う下りが面白かったですね。
高木ブーさんには、ギャラ交渉の際、ミルク代がかかると言われ、ギャラをプラスさせられたとか。
高木ブーさんに関しては、「ブーより演技の下手な人間は存在しない」と書かれている反面、「楽器を演奏できて歌もうまい、かっこいい」と褒めていたりもします。
仲本工事さんに関しては、「やればもっとできるのに、欲がない、もったいない男」と評価しています。
加藤茶さんに関しては、笑いへの瞬発力が良い、とかなり褒めている描写が多かったです。
志村けんさんに関しては、荒井注さんの後釜でやりにくかっただろうなと同情しています。
その他
その他、ビートルズの前座を務めた話や全員集合の裏話、自身の俳優活動についてなど語られています。
いずれも当事者にしかわからない裏話が満載です。
ドリフのリーダーとして厳しい人だったと言われてもいますが、この本を読むと大変だったんだなといかりやさんの気持ちがわかります。
なお、随分前に発売された本なので、現在入手するのは難しいようです。
書籍としてはプレミアがついているようです。
しかし、Kindleでなら、安く読めるようなので、こちらを利用されてはどうでしょう。
個人的にはいわゆるタレント本の中でも屈指の名作だと思います。
なにより、いかりやさんはこの本以外に自身について書かれた本を残されていません。
芸能の歴史を語る上でも貴重な一冊だと思いますね。
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