村西とおる著「人生、死んでしまいたいときは下を見ろ、俺がいる」

書評・その他

この特異なタイトルの本は、AVの帝王と呼ばれる村西とおる氏の著書です。

前科7犯、借金50億、アメリカで逮捕されたときの求刑370年、一時は余命一週間と告知された……そんな状態の俺でも生きているのだから、みんながんばれと励ましてくれる本です。

「魂の言葉」というサブタイトルどおり、熱い言葉が並んでいます。

作者、村西とおる氏について

お若い方は著者について知らないかもしれませんので、一応著者の略歴を記しておきます。

福島県は現在のいわき市出身のAV監督さんです。

「昭和最後のエロ事師」「AVの帝王」「価値紊乱者」などという二つ名があります。

AV監督としての村西とおる氏の実績は言うまでもありませんが、かなり波乱の人生を送られています。

福島県の貧乏な家庭に生まれ、白米を初めて食べたのは小学1年生のときだったとか。

高校にはほとんど通わず、学校の掃除をすることで卒業を認められたエピソードも。

高校卒業後、上京し、バー「どん底」で勤務。

その後、英語教材のセールスでトップセールスマンに。

「ナイスですね」

「ゴージャスでございます」

などの、英語を混ぜた村西語録はこの頃に下地が作られています。

その後、インベーダーゲームのリースなどで大儲けするも、ビニ本に出会ったことで、そちらの世界に魅了され、過激な作品を次々出版。

革命的な作品を次々と発表して大儲けし、一時はチェーン店多数の「北大神田書店」の会長に就任しますが、猥褻図画販売目的所持で逮捕され、全財産を失います。

社会復帰後、今度はAV業界に進出し、「ダイヤモンド映像」を設立。

黒木香さんなどの人気女優を擁し、一時は年収100億に。

ですが、好事魔多し。

衛星放送の投資に失敗して、会社は倒産。

50億の借金を背負います。

その後はタオル販売、DVD販売、蕎麦店経営、アダルトグッズ販売にて借金を完済。

まさに波乱の人生と言えるでしょう。

そんな人間だから、タイトルのような言葉が言えるわけです。

現在は自らのサイトで有料ブログを発表されていたり、日々、4件ほど投稿されるツイッターで力強い言葉を発信されています。

なお、Netflixで放送され人気を得た「全裸監督」のモデルとしても注目されました。

なにか放送コードに引っかかるのか地上波ではあまり姿を見ることがありません。

この本の構成

5章構成になっていて、各章のはじめには村西とおる氏の名言が大きなフォントでいくつも書かれています。

そのあとに村西とおる氏の人生体験談が記されています。

なので、文字数としては少なく、読みやすい本でもあります。

名言をいくつか挙げると……

「どんな苦しみだって耐えられる。過ぎ去ってしまえば思い出になるから」
「あきらめを知らない努力は必ず報われる」
「人を説得する秘訣は情熱。それに尽きるのでございます」
「カネでは人の心は買えない」
「我慢のあとに天国がやってくる、SEXと人生」
「セックスと同じように、人生ではやらないことが最大のリスク」
「大儲けをしてみればいい。尊敬など決してされないから」

どうでしょうか、村西監督の言葉だけに多少下ネタが入ってしまいますが、どれもなるほどという名言です。

私的感想

前科7犯、借金50億の人間なんてなかなかいるものではありません。

だから、タイトルの通り、自分以下の存在を見てがんばれと言う村西監督の言うこともよくわかります。

しかし、自分を卑下されていますが、一時は年商100億を稼ぎ、50億の借金も返済した方です。

実際は、ものすごく商売の才能と根性のある方だと思います。

とはいえ、並べられる言葉は、人生の辛酸を舐め尽くした村西監督の言葉だけあって、どれも大変重みのあるものでした。

そして、語られる波乱万丈の人生も、なんて中身の濃いものなんだろうと思わせてくれました。

ただ、村西監督にはもっと面白いエピソードがたくさんあるはずなんですよね。

ページの都合上、仕方がなかったのかもしれませんが、もっとたくさんのエピソードが読めると思っていただけに、その点に関しては少し残念でした。

それと、下ネタは多少あったものの、村西監督にしては少ないなと思いました。

過激すぎると販売できなかったのかもしれませんが、少し中身の濃さという点では物足りない点もありました。

まあ、そのあたりはNetflixで「全裸監督」を見るなり、原作本を読めということでしょうか。

それでも、スラスラと読めますし、勇気がもらえる本でもありました。

気分が落ち込んでいるときには、この本を読まれてはいかがでしょうか?

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